たくさんの人に生かされて今があるということに気づく

東日本大震災伝承館レポート③-2陸前高田市「東日本大震災津波伝承館(いわてTSUNAMIメモリアル)」

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東日本大震災伝承施設のうち、岩手県にある3つの施設を訪問しました。この記事では、それぞれの施設で、どのような施設か、体験できることなど、実際に訪問し感じたことをレポートとしてお送りします。まだ伝承施設を知らない人も、これから訪問する人もぜひこちらの記事を参考にしてみてください。

また、東日本大震災伝承施設については  こちらの記事  を参考にしてみてください。

多くを失ったからこそ伝えられること

まち全体も人的な被害も大きかった陸前高田市という地で何を伝えていくのか。今回訪れた「東日本大震災津波伝承館(いわてTSUNAMIメモリアル)」からは、二度と東日本大震災のような悲しい思いをしないためには何が大切なのかを学ぶことができました。多くのものを失った市だからこそ、伝えなければいけないことがたくさんある、そのような強い意志が伝わってきます。

私は震災を経験し当時は避難生活なども送っていました。そういうこともあってか、東日本大震災についてどこか知っているつもりに立っていたところもあったのだと、今回の伝承館を訪れて気づくことができました。

被災地や被災者、津波についてを記録している伝承館は多いですが、今回の伝承館はそのことに加えて「命を救う」ために尽力した人々の記録もされていました。私(たち)が自分たちの命を守ることで必死だったなか、自分を犠牲にしても人々の命を救おうと行動していた人たちがいたこと、またそれによって命を落としてしまった人々もいるということ。私たちはたくさんの人によって生かされているということを忘れてはいけないと思いました。

この伝承館で、一つ一つの展示を見ていたら3時間ほど滞在していました。それほどたくさんのことが記録されおり、無駄な展示は一つもないです。気づかされることも多かったです。

2021年の3月には「高田松原津波復興祈念公園」が完成する予定です。この機会にぜひ訪れてみてください。

伝承館を訪れて

私は卒業研究をするにあたり、初めて東日本大震災伝承館について調べ、足を運びました。前から存在は知っていたのですが、被災地には必ずと言っていいほどあるのでどこにいけばいいのかわかりませんでした。また震災を経験した私が伝承館や震災遺構を見ることで何が得られるのか、ただ思い出して「辛かったな」と思って終わりなのではないかと思っていたこともあり、行こうと思うことができずにいました。

しかし卒業研究で震災について扱う、さらには震災の記憶を忘れず残していくことに取り組もうとしている。その中ですでに震災について記録し残していくことに挑戦していたものが伝承館でした。伝承館について調べ、実際に訪れることで何か参考にできることがあるだろうと思い調査を始めました。

伝承館は青森県・岩手県・宮城県・福島県にあり、現在では240件ほど登録されています。さらに登録されている240件の中の第三部類に属す46件の施設は特に震災について理解のしやすい施設です。そこで第三分類は人々により伝承しやすい施設と考えました。

このような形でエクセルに一通りまとめました。エクセルにまとめているだけでは、どの施設も同じことをやっているようにしか思えなかったり、「防災学習」と書いてあるけど実際に何を学べるかはわからなかったり。伝承館が何をしている施設なのかは知ることができましたが、それぞれの伝承館では何を得ることができるのかは調べるだけではわからなかったので、実際に行ってみたいと思いました。

そして3つだけですが訪れてみての感想は、どの施設も特色がある、ということです。また今回訪れた施設は、調査をした段階で「他にはないような展示」をしていたり「地域の復興や防災の拠点」となっていると考え、行きたいと思っていた施設だったのでより特色を感じられたのかもしれません。

伝承館を訪れて、最初に抱いていた、「震災を経験した私が伝承館や震災遺構を見ることで何が得られるのか、ただ思い出して「辛かったな」と思って終わりなのではないか」というようなイメージはなくなりました。現に知ったような気になっていて全然知らなかったこともありました。そして「辛かった」で終わることもありませんでした。確かに津波の映像や壊滅してしまった町を見て当時のことを思い出し悲しい気持ちになりました。どうしてこのような悲劇につながったのか、非常時に正しい行動とはなんだろう、悲劇を繰り返さないために人々はそれを教訓とし伝えていく。など辛さから色々なことを考えたり、気づくことができました。これこそが伝承館が事実を記録し伝えていく意味なのかなと思います。

施設、石碑、震災遺構など、伝承館は色々なところにあります。まずは第三分類に属している伝承館に行ってみてください。今までなんとも思っていなかった石碑にも意味があることがわかりますし、なんとなく残しているように思えていた震災遺構にも、私たちに教えてくれることがある、ということに気づけます。

そして、災害はまたやってきます。その時に自分はどのような行動を取るのだろう。今どのような対策をする必要があるだろう。東日本大震災を単なる「悲しい過去の出来事」で終わらせず、知ることで自分の中で教訓とし「これから」につないでいくことができるのだと思います。伝承館の役目の一つにはこんなこともあるのかなと思いました。

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