授業運営に役立つWordpressプラグイン

より良いオンライン講義を模索する中で、最近手応えを感じるのがWordpressで学習管理システム(LMS)を作成して活用する手法です。既存の汎用LMSに合わせて授業を進めるのではなく、自身の授業運営に特化させた効率の良いシステムを構築するのが狙いなのですが、なるべく短時間でシステムを構築できないと効率が逆に悪化してしまいます。こうした場合に力になってくれるのが無数に存在するプラグイン。私がこれまで厳選して使ってきたプラグインを一挙に紹介します。
ユーザー管理

授業でWordpressを使う際に最初にクリアしなければならない問題がユーザー管理です。数人のゼミであれば手動で教員が設定してしまうという手もありますが、履修者が50人を超えるようなケースでは現実的ではありません。また提出した情報などを公開したくない場合も多いかと思います。そんなケースで役立つプラグインを紹介します。

Force Login
Wordpressサイト全体を非公開にできます。閲覧できるのは登録されているユーザーのみ、サイトにアクセスする場合はログインが必要になります。
Import Users from CSV
学生の履修リストなどからCSVを用意することで、複数のユーザーアカウントを一気に作成できます。Force Loginと併用すると、履修学生のみがログインできるサイトが実現できます。

Import Users from CSVを使用して一気に学生アカウントを作るのも良いのですが、パスワードの問題などがあるのと、何よりも教員の負担を軽減するために学生自身がユーザーアカウントを作れるようにしておくのもおすすめです。方法は簡単です。

  1. 一般設定で「だれでもユーザー登録ができるようにする」をON
  2. 学生の権限を設定しておく。私は「投稿者」としています
  3. 学生にユーザー登録用URLを教える

ユーザー登録用URLはWordpressに予め下記のように用意されています。上記の設定を済ませておけば、学生に下記のURLを伝えるだけで自分で登録を完了できるので便利です。

https://アドレス/wp-login.php?action=register

WP User Avatar
任意の画像をユーザーアバターやユーザープロフィール画像として使用できます。簡単に学生がプロフィール画像を変更させるようになります。
Last Name First Name
ユーザー管理画面で、名前の表示順や入力順を「名→姓」から「姓→名」にします。表記の細やかな部分ですが、学生名を間違えないようにもインストールするようにしています。
View own posts and media library items only
他のユーザーの投稿やメディアが表示されなくなり、自分のデータのみが表示されるようになります。これは授業でWordpressを運用する際は必須のプラグインと言えます。ただし、投稿に対して学生同士がコメントできるようにしている場合は設定で「Hide comments from others posts」をONにしておきます。(プラグインが長年アップデートされていないので若干不安があります)
使いやすさを向上
Classic Editor
最新版のWordPressのテキスト入力はGutenbergという高度なエディターとなりました。このプラグインはGutenbergを無効にして、以前の WordPress エディターおよび投稿編集画面を復元するものです。
Yoast Duplicate Post
投稿した記事などを複製できるようになるプラグインです。Wordpressはデフォルトで複製ができないので、このプラグインをインストールするようにしています。
WP SVG images
Wordpressでベクターグラフィックの画像フォーマットである「SVG」を使用できるようになります。他の画像と同じようにメディアライブラリに追加できるようになります。
Admin Menu Editor PRO
余計なメニューや項目を非表示にできるプラグイン。学生が混乱しないよう必要最小限の表示にカスタマイズ可能です。プロ版は有料ですが細かい設定が可能となるためオススメです。
カスタム投稿関連

WordPressを授業運用で活用するために欠かせないのが「カスタム投稿タイプ」。教員があらかじめ項目を決め、学生はその項目に対して答えるように投稿が可能となります。いわばWordpressを用いたフォームシステムのような運用ができるので、定型的な課題の提出や、採点などの際にデータを整理して活用することができるようになります。

Custom Post Type UI
Wordpressの「投稿」「固定ページ」とは別に新たに独自の投稿タイプを作ることができます。例えば「リサーチ提出」「受講レポート」のように提出名を決めることで、学生達の課題提出が明快になります。
Advanced Custom Fields
投稿データにカスタムデータを加えらるようになり、フォームのような入力項目を規定することが可能になります。テキストや画像、URLまで様々なデータを入力が可能です。Custom Post Type UIと組み合わせて使っています。

参考事例として私が実際に演習で使用していた時のカスタム投稿タイプです。提出物ごとに投稿タイプを作って運用していました。

Custom Post Type Permalinks
カスタム投稿タイプのパーマリンク設定を編集可能にします。デフォルトだと投稿名がタイトルになってしまい、日本語タイトルの場合にURLが長くなりすぎる傾向があるため、私はIDを使用しています。
ACF: Better Search
検索結果にカスタム投稿タイプの記事も含まれるようになります。
テーマ

WordPressに膨大な数のテーマが存在しています。無料なものから有料なものまで様々です。私もこれまで30ほどのテーマを試してきましたが、どれも一長一短であり、設計思想の好みの問題でもあるかと思います。

そんな中でここ数年私が愛用しているのが「Impreza」です。有料ではあるのですが、私が必要としている機能が全て揃っており、カスタマイズが容易だと感じるからです。(あともうこれ以上新しいテーマの使い方を覚えるのは面倒、というのも本音です)

Impreza
有料のテーマ。機能が豊富でカスタマイズが容易なため、様々な用途に使える。WPBakery Page Builderが含まれているため構造を整理しながらレイアウトできるのもポイント。Custom Post Type UIやAdvanced Custom Fieldsもデフォルトでインストール可能となっている。
PHPを用いたカスタマイズ・拡張
Code Snippets
Wordpressの機能をPHPで拡張する場合、Function.phpを直接書き換える必要がありますが、初心者にはとてもハードルが高いものです。このプラグインを使うとPHPを別の場所に書いてカスタマイズ可能で、さらに手軽にON/OFFができるため、より安全な機能拡張ができるのです。

今回紹介したプラグインやテーマは、実際に私が授業内で活用しながら絞り込んだものになります。2020年度は実際に4つの演習でWordpressを導入し、学生同士が課題を共有したり、相互にコメントができるシステムとして、効果的な運用ができたと感じています。

授業の運営というテーマで紹介しましたが、実はこれらの機能は、Webアプリを作ったり、通常のウェブサイトの更新システム(CMS)として活用することもできるのがポイントです。実は、この研究室のサイトや、個人のこちらのサイトでも同様な考え方で構築しています。ぜひ参考にしてもらえたらと思います。

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